太田ベヌッツィ光子(おおたべぬっつぃみつこ) / 1992年卒業

卒業後の進路:
上野学園大学 音楽学部 リコーダー専攻
ミラノ市立音楽院 古楽器科 リコーダー専攻
現在の仕事:
リコーダー奏者・上野学園大学非常勤講師 他 2001年 ミラノ市立音楽院ディプロマを得て卒業。
2001年 ブラビシモクラシカ2001コンクール優秀アーティスト賞受賞。
2002年 第16回古楽コンクール第1位。
2004年 「グリーンスリーブス~笛の楽園」をキングレコードよりリリース。
2007年 「イタリアへの夢」をコジマ録音よりリリース。レコード芸術誌特選盤に選ばれる。
現在日本各地でコンサート、レコーディング、TV・ラジオ出演など幅広いジャンルによる活発な演奏活動を行うと同時に、ヨーロッパ各地でもソリスト及びアンサンブル奏者として活躍している。
上野学園大学非常勤講師他、各地でリコーダー講師を務める。
中高時代:
私は横浜英和(当時の成美学園)に中学と高校の6年間通いました。英和では様々な行事及び日常生活を通して、いろいろなことを感じたり考えたり感動したりする機会が多くあり、それが今の私に多大な影響を与えてくれました。今思えば英和での6年間は、その後私がリコーダー奏者として、そして一人の人として生きていくための心の準備をした、今の自分の基礎となっている重要な期間でした。

中高時代の生活、現在の私への影響
毎日の礼拝や先生方の私達に対する細やかな配慮等毎日起こる様々なことから多くのことを学びました。何か生意気を言う私を、決してどの先生も頭ごなしにお叱りになったりはしないで、いつも私の言いたいことに耳を傾けてくださいました。私が頑固な態度をとり、先生と相談室で1時間以上に渡って話し合ったこともありましたが、私の言い分を理解した上でアドヴァイスしようとしてくださった先生の真剣さに「私は一人の人として認めてもらっている」と感じ、とても嬉しかったのを覚えています。
私の職業のように大勢の人の前に立つには、自分が今やっていることがあっていてもまたは後で間違いと分かることでも、自信を持っている必要があります。自己肯定感がないと堂々と立って演奏することなどできないのです。今自信をもって演奏できるのは、このような横浜英和での生活と自分の家庭環境の中で暖かく見守ってもらえて、そこで自分の思ったことをのびのびと言い、行い、そして未熟でも自分の考えを認めてもらって伸びやかに育ったからこそと思っています。

横浜英和で学んだこと
私が在学中学んだことの一つは「人間はどんな人でも同じ、大切なのはその人の中に持っているものは何か、そしてどれだけ自分の持っているものを生かして生きるか」ということです。それが今現在私の生活の中でどんなに生きていることでしょうか。私の仕事である、国内外のあちこちに演奏しに行くということの多くは、仕事の度に知らない人と出会ってその人達と協力しつつ自分を発揮しなければならないということです。出会う人々の外側よりも中身に興味を持つことで心が触れ合うことができ、知らない人の中に一人でいる恐怖はいつの間にかなくなって、楽しく仕事ができます。
また仕事のみならず、私は外国人の夫を持っているので、外国の全然知らない場所で全然知らない人達とご一緒する機会もよくあります。そんな時も自分なりに楽しくやっていけるのは、周りの人々のお陰はもちろんですが、英和での体験によるところが大きいと思います。

横浜英和と音楽
横浜英和は良い音楽に親しむ機会が多くありました。礼拝堂でパイプオルガンを聞き、礼拝後の後奏でバッハ等美しいオルガン曲を聞きながら礼拝堂から出て行き授業に向かう毎日、好きな曲の時はそれが何の曲であるか先生に訊いたものでした。所属していた音楽部ではいろいろな曲を演奏し、毎年合唱コンクールがあり…等々音楽に接する機会、そして演奏する場所(ブリテンホール;音響が最高です!)に恵まれていました。
また、1年に1回ある音楽教室はとても楽しみでした。その度にこんなに素敵なものが世の中にあるんだということと、そんなことできる人達が目の前に来て自分達に見せてくれている!という単純な感動があり、私も何かこういう人になってみたいなと夢を膨らませたりしていました。何がどう良いのか分かっても分からなくても、とにかく「わぁ~すごい」と感動できる機会が数多くあったこと、その積み重ねと横浜英和の音楽的環境の中で自分の将来、リコーダー奏者への夢が生まれていったと思います。ですから去年(2004年)音楽教室に呼んでいただいた時には音楽教室を鑑賞していた当時の自分を思い出し、生徒の皆さんが音楽を好きでも好きでなくても私の演奏を見て聴いて「わぁ~」と何かしら感じることで、何かを考える材料の一つにでもなればいいなと願いながら演奏しました。
私が今仕事をしていて一番嬉しいことは、自分の努力してきたことが達成できた時はもちろんですが、私の演奏を聴いたことで「元気が出た」、「また自分もがんばろうと思った」、「失恋から立ち直れた」等とお客さんが言ってくださった時です。リコーダーを吹くのは自分がやりたくてやっていることなのですが、時々「ところでこれは何かの役に立つことなのかしら」と疑問に思う時があります。そんな時このような言葉を聞き私の演奏が誰かの役に立った事を知ると、一生懸命やってきてよかったと心底思います。
自分を生かしたことで人の役にたてるということは、本当に幸せなことだと思っています。