【10月 園長だより】

2016.10.02

試行錯誤

 歩き始めの子どもは、何度も何度も転びながら、歩くことを覚えていきます。よろけて倒れて、起き上がって、また歩いて・・・本当に粘り強く、くり返しながら、自分の体を知り、重力を知り、バランスをとることを学んでいきます。やってみることで学ぶのが、子どもたちの学び方です。少し大きくなった子どもたちは、これに「予測する」ことが加わります。これまでの経験がもとになって、「こうすると・・・なるかな?」と予測し、やってみる。結果を見て「やっぱり、そうだった!」と納得したり、「あれ?ちがった!どうしてかな?」と考えて、「それじゃ、こうかな?」と、また試してみる。こんなことを繰り返しながら、新しい知恵を獲得していく。・・・時々は大人にとっては「いたずら」と受け取られてしまうこともあるかもしれませんが、本人にとっては大まじめな実験なのです。もう少し大きくなると、イメージする力が加わり、試してみたい気持ちとその後起こるかもしれない影響を考えて・・・「お部屋がびしょびしょになるかも・・・」「○○ちゃんが泣いちゃうかも・・・」等と、やりたい気持ちを抑えることができるようになります。幼稚園の子どもたちはこのような道を通って今に至っています。けれども、やってみることで学ぶという学び方は変わりません。できるだけいろいろなことを自分で試してみることができるような環境を整えてあげることが大事です。それと共に、イメージする力、考える力を付けていく時ですから、子どもに聞かれたことは全部教えてあげるのではなく、これらの力を発揮できるように気を付けてあげるとよいでしょう。

 28日は晴天、紅白玉を陽に当てたいと思い、入口に紅白玉の入った箱を置き、子どもたちへ手紙を置いておきました。「こどもたちにおねがいです。じぶんでもてるだけのたまをもって、かいだんをあがってください。」登園時間になると、子どもたちがいろいろなやり方で紅白玉を運んできました。両手にしっかり握りしめたり、胸も顎も使って抱えてきたり、スカートやTシャツの裾で包んだり、帽子の中に入れたり・・・「どうして運ぶの?」「どうしてお日様にあてるの?」と質問もあり、「みんなで玉入れができるわね」「ずっと下の部屋で眠っていたから、お日様に気持ちよくしてもらいましょう」等と話していました。大人ならば23分でできてしまうことですが、子どもたちに託すことで、子どもたちは考えてそれぞれのやり方を見つけていました。誇らしげに階段を昇っていく姿もありました。

日々たくましく育っていく子どもたちには、ちょうどよい助け方も日々変わっていきます。子どもたちが変わるときは大人も変わるときです。 

園長 菰田とみ子