【5~6月 園長だより】

2022.05.17

 「聴くことの大切さ」

 五月となり、草木のすべてが生き生きと萌える候となりました。子どもたちも少しずつ自分の居場所を見つけて、生活をしだしています。一人ひとりの違いが、はっきりと認められて、幼児の成長の速さに驚くばかりです。

 子どもたちのケンカは、自分の気持ちや願いが相手にうまく通じないことから起こってきているようにも見えますが、どうなのでしょうか。このことは小学校でも見てきました。

いざこざが起こった時、特に男の子には手っ取り早く手や足が出ることもありました。

どの年齢でも、理解されないもどかしさにイライラすることがあります。自分へのもどかしさから相手にあたってしまうようです。この自分の気持ちのもどかしさを誰かにわかってもらいたいのは誰しも同じです。聴いてくれる人がいれば気持ちは自然と落ち着きます。

 子どもたちにとっても、受け止めてもらえることが何よりなのです。

 そう言えば、何でも「やだ!」と拒否する時期を自分の娘で経験したのを遠く思い出しました。そして、そのような時、どうしていやなのか、訳が分からなくなって問い詰めるとますます混乱が生じて、私自身途方に暮れて複雑な気持ちになりました。そんな時に、お母さんが現れて、お母さんに聴いてもらえて、うまく自分を表現できないもどかしさを乗り越えていくのでした。

友だちとのいざこざも、成長の一歩として続いていますが、その中の誰かが聞き役に回ってその場が収まっているのを年長さんに見ることがあります。

 理屈ではない世界が小さな子どもの世界では自然なことなのでしょう。「理由をはっきり言いなさい」では解決しないこともあるということを覚えておきましょう。そして聴いてあげる気持ちを忘れないでいましょう。 

 

                      園長 磯貝 曉成