【9月 園だより】
2022.09.12
「のびやか」
長月の候となり、残暑の中にも虫の声に耳を傾ける頃となりました。
さて、この時期の幼稚園の保育の目標は、「のびやか」です。気持ちが和らいでゆったりとした状態です。そこに優しさが生まれる一コマに出会いました。
夏の長い休みが終わって学校が再開されたとき、小学生や中学高校生の中には、友だちに早く会いたいという気持ちと同時に、何となく学校に行くことに気怠さを感じている者もいます。これまでの生活リズムと、学校での生活リズムを上手く調整できなくて足踏みしているようです。
そのことが幼稚園でも少し垣間見られましたのが先日の1日の朝のことでした。少しだけお母さんと別れがたく、クラスへの階段を昇りかねて手すりにしがみ付いて動こうとしないのです。年中さんなのでしょうか。どうなるのかなと暫らく静観していました。
心の内では、園庭に行く年長さんの誰かに頼もうかなと思っていました。
一人の年長さんと目が合いました。お願いしようと言葉を発する前に、その子の所に近づき、一緒に行こうと少しぐずっている子に声をかけたのでした。
私はその様子を見ていて、心にこみあげてくる思いを感じました。
少し間をおいて二人は上に登っていきました。
子どもたちは、それぞれ誰に教えられることなく、感じながら、考えながら育っていっているのですね。
蒸し暑さの残る中に、さわやかな一陣の風が吹き抜けていきました。
横浜英和学院 学院長・園長 磯貝曉成