【10月 園長だより】

2022.10.03

「みんなちがってみんないい」

                     

 深更、虫の声が秋を深めていきます。 

 さて、この時期の幼稚園の保育の目標は、「みんなちがってみんないい」です。

子どもの動作や行動が周りの子どもに比べて遅れているのではないかと、少し心配になることがあります。しかし一人ひとりの興味や関心は一人ひとり違っていることに心を止めてみましょう。

  

 入園して半年も経つと子どもたちは、自由な遊び時間には、一人あるいは二人三人で、また砂場では入れ替わって幾人かが何かを作っては壊していました。一人ひとり自分の思い思いの居場所を自分から見つけ出しているのです。

幼稚園では、子どもたちが自身の関心や興味によって遊びを選び取る時間を大切にしています。その時間には、子どもたちはそれぞれ自分の興味や関心の世界に入っていきます。

 

先月の巻頭言で、子ども同士の優しさの一コマをお知らせしましたが、その続きです。

毎朝、2階の玄関での登園の様子は、見ていると一人ひとり実に様々です。

 慣れ親しんだ家庭という居場所から、それぞれの子どもたちの生活する幼稚園に入っていくには、少なからず心の準備が必要な子どもがたくさんいます。殊に休みの次の日の朝など、今日もまた保護者との別れの「儀式」が行われるのです。

子どもたちは自分のリズムで3階の年少年中組のお部屋に階段を登っていきます。その間を縫うように年長組の子どもたちが朝の仕事を忙し気にしています。(年長さんたちは、お弁当や給食の時に使っている布巾をたたみ、各クラスに運んでくれているのです。)

 一人の年少組の女の子が、お母さんと離れがたくなってしまい、皆から取り残されました。さて、どうなるのかと思っていると、素早くひとりの年長さんの女の子が、「さあ、皆のところに遊びに行きましょう。皆、上で待っているよ。」と言いながらお母さんの手から年少さんの手を取って自然な流れの中で階段を登り出したのです。御見事でした。

 自立とは、自分の居場所を自分で見つけ出せることです。幼稚園でも子どもたちは、みんな違ってみんな自ら自立することを一歩一歩体験し出しているのです。

 

  横浜英和学院 学院長・園長 磯貝曉成