【9月 園長だより】
2023.09.07
「一人ひとり、その子どものリズムに沿って」
長い夏休みが終わって、9月1日の始業式で、驚きと同時に嬉しく感じたことをお伝えします。
長い休みの後には、休みの反動が起こりがちです。
家庭での少し自由な生活と幼稚園での少し規律を伴う生活とのギャップに、登園を渋る子どもたちが出てくるのかと心配していました。
ところが朝、入口でのあいさつを済ませると、誰もがそれぞれの教室にごく自然に進んで行ったのです。いつもならお母さんとの別れに時間がかかる子どもが二、三人いるのですが、その日は、お母さんの方がうれしい気持ちと同時に子どもが自立していくちょっぴり複雑な気持ちを感じられたのではないでしょうか。
子どもたちの世界が広がっていく時期なのでしょう。家庭から社会への広がりが目に見えないところで、子どもたちのリズムに沿って進んでいたのでした。比べたり焦ったりすることはないのです。
さて、前回の「保護者と園長との会」で、次回は、物語を聴く力をどのように育むかについて触れたいと語りました。
こんのひとみ作・いもとようこ絵の『いつもいっしょ(金の星社)』を用いて「言語力を育むカリキュラム」について説明する予定です。
この聴く力が育まれるのも、一朝一夕で身につくものではなく、日常生活の中で知らないうちに育っていくのですが、私たちは、その育ちを少し手助けすることをいたしましょう。
これまでも家庭で子どもたちに多くの絵本を読み聞かせてこられたと思います。
物語性のある絵本ならどの絵本でもよいのですが、最初は子どもの好きな絵本を選んでくだされば良いのです。
以前プリント配布しました「年少・年中・年長対象の参考絵本90冊」から選んでもよろしいかと思います。年長用としては、間合いを取りながらゆっくり感情をこめて読んだ場合に7、8分程度かかる本を目安に選んでください。何よりも子どもの関心を引き付けるような物語の筋(心や気持ちの動きのあるもの)を選んでください。
そしてその物語から質問を15から20作ってください。記憶を問うのではなく物語の筋にたいして、どうしてそうなのかと、その動作や言葉の理由や原因、またその場の様子を聞くような問いかけです。言うなれば物語の筋をどこまで理解できているかを聞けるような質問を楽しみながら行ってください。絵本を読み聞かせている途中で行ってもいいです。まずはやってみましょう。慣れてくれば楽しくなっていきます。
幼稚園でも、この流れを各組で行っていく予定でいます。
学院長・園長 磯貝 曉成