ゲームや交流サイト(SNS)

2025.10.31

中村 貞雄

 

子ども達のSNS利用が深刻な依存を引き起こし、心身をむしばんでいるとして、米国ではSNS事業者を相手取る訴訟が相次いでいるようです。また、毎年4月に実施している全国学力調査(小学校6年生と中学3年生対象)で、1日当たり3時間以上のゲームやSNS、動画視聴をしている児童生徒が、約30%になることが報告されています。では、スマホやゲームをやり続けると、脳にどんな変化が起きるのでしょうか。

1つは、ゲームや交流サイト(SNS)をすると、脳内でドーパミンという物質が出ます。ドーパミンが強く出るのは、何かに集中する時や中身がわからずドキドキする時です。ゲームをしたり動画を見たりする時はもちろん、スマホの通知で「何かな」と思っただけでも出てきます。これを繰り返していると、ゲーム以外の弱い刺激ではドーパミンが出ない脳に変化していきます。他のことをしようとしても集中しにくくなるそうです。

2つ目は、スマホやゲームをしている時は、脳の前頭前野に血液が十分流れず、その動きが弱くなります。前頭前野は感情をコントロールする働きをしているので、キレやすくなり、我慢する力が弱くなると考えられています。さらに進むと、不登校や暴力、昼夜逆転などの問題が起こることが多くなります。止めないといけないと分かっていても、同じことを繰り返す「止まらない回路」ができてしまいます。依存症の状態です。依存しやすさには個人差もありますが、子どもの脳は前頭前野が発達途中で、欲求を止める力がもともと弱いと考えられています。

ゲームやスマホはもちろんですが、これからは一人1台の学習用タブレットを使っていく時代です。大切な事は、使用時間なども含めたルール決めやその子に合った使い方をすることです。子ども達の健全な成長のために、家庭でも学校でもよく考えて使用を探りながら付き合っていきましょう。