校長メッセージ
― Let your light shine ―
あなたの光を輝かしなさい

新たな時代を創造し、輝きのある人生へと押し出す教育
新型コロナウイルスの出現から3年が経過し、今、ようやく世界も日本もその出口に向かって進み始めました。しかし、「ゼロコロナ」になることはないといわれる現状の中での新たなスタートです。私たちの日常は今も様々な危機と隣り合わせであることに、変わりはありません。今年中学に入学した生徒たちが高校を卒業し、成人となる頃、彼らを待ち受ける世界はどのようなものとなっているでしょうか。現在起きている紛争や災害、感染症、地球環境など様々な課題を考えた時、新たな時代に向けた航海は、決して楽観的なものとは言えないでしょう。 にもかかわらず、”Here am I. Send me.” 「私がここにおります。私を遣わしてください。」と自らのミッションを果たすべく、海を越えて横浜の地を踏み、本校を創立した宣教師たちの建学の精神を持って、生徒たちを未来社会へと船出させる教育。それが青山学院横浜英和中学高等学校が目指す教育です。
キリスト教を基盤とした中高一貫教育
1880年(明治13年)10月、アメリカ人宣教師ミス・ブリテンは横浜山手の地に「ブリテンスクール」を創立しました。1859年の横浜開港から21年目、今から143年前の時代、ブリテンをアメリカから横浜に向かう航海へと押し出したのは、「教えるものなくして、どうして知ることができるでしょうか」という海外伝道への使命でした。そのあとに続いた女性宣教師たちはみな同様に、熱意をもって使命に生き、本校の土台を築きました。
1916年に現在の蒔田の丘へ移転した本校は、それから100年後の2016年4月に青山学院大学の系属校となりました。今年の3月にはすでにII期生が卒業し、多数の生徒が青山学院大学への進学の道を与えられました。2018年度中1から始まった共学教育は6年目を迎え、本年度より中高全学年が男女共学となりました。
「キリスト教に基づく人格教育を行う」という建学の精神のもと、謙虚に自立した社会的存在として他者や社会に貢献していくことのできる人格の育成を教育方針とします。校訓 「心を清め 人に仕えよ」は、自分に与えられた賜物を生かして他者のために生きよと、将来の社会的自立と社会への貢献を生徒に促すものとなっています。
教育目標は「神を畏れる」「自立する」「隣人と共に生きる」の3つで、キリスト教教育、キャリア教育、グローバル教育として、6年間の教育プログラムの中で具体的に実践しています。
生徒像は “Global Citizen with 3 I’s“
青学英和の生徒像―それは「知性、品性、国際性をもったグローバルシチズン」です。キリスト教的な価値観を持ち、多様性を受け入れ、様々な人々を理解し、共に考え、歩んでいける知性(intelligence)、品性(integrity)、国際性(international mind)という3つのIを兼ね備えたグローバルシチズンです。この3つのIとは、専門的技術・知識としての「知性」、うそ偽りのない誠実な生き方のできる「品性」、人との関係を積極的に築いていける「国際性」です。そしてこの生徒像は、豊かな人格と確かな学力によって裏付けられたものです。
本校には、約30年にわたりグローバル教育を先進的に進めてきた実績があります。この間、海外の姉妹校との絆を深め、確かな連携関係を構築してきました。いよいよ2023年度は、海外に渡航するプログラムを再開します。8月にオーストラリアの2校の姉妹校やニュージーランドのセントバーナード校への短期留学、アメリカのシアトルサマープログラム、ボルチモア語学研修への参加、9月に高校2年生全員参加のカナダ海外研修が実施される予定です。4月からは、12名の高校生がカナダへのターム留学に出発し、昨年9月からはすでに4名の高校生が1年間の留学生活を行っています。受け入れプログラムとしては、9月に、オーストラリアのタスマニアにある姉妹校ファーンスクールの生徒、教師が来日し、本校で過ごします。また、海外大学への進学サポートも積極的に行い、今年3月に卒業した複数の生徒が、海外大学進学の夢を実現させました。
これからを生きる生徒たちには、理工系を含めグローバルな視野で自分の進路の可能性を追求していってほしいと思います。そのためには、STEM分野の学習やキャリア研修、グローバルプログラムなど、在校生が体験的にグローバルな視野と思考を身に着けられる環境があることが求められます。私は、熱意と使命感を持って、その教育を担っていきたいと思います。
より豊かで確かな青山学院大学との高大連携
横浜英和学院と青山学院は共に、アメリカメソジスト派の宣教師によって創立された学校です。系属校化の目的は、「心を清め 人に仕えよ」の横浜英和学院のモットーと、「地の塩、世の光」として神と人に仕え社会に貢献するという青山学院のモットーを融合させつつ、共に連携してキリスト教を基盤としたより豊かな教育を行っていくことにあります。
系属校化8年目を迎え、キリスト教プログラムの他、大学出張講義や学問入門講座への出席、渋谷、相模原キャンパス訪問、キャリアガイダンスが実施される他、各学部の学生企画プログラムやクラブコーチとしての働きなど、学生との交流も盛んに行われるようになり、両校の連携はより確かなものとなっています。
Let your light shine !
教育の本質は、人格の育成にあります。自らの賜物を生かし、未来社会を勇気と希望をもって進んでいく人格の育成こそ、今、学校教育が果すべき使命です。 自立した社会人として行動し、分断が深まる世界の中で、人々と連帯して平和な世界を志向する者となること。本校で行われる毎日の礼拝や聖書の学びは、そうした人格の基盤になります。神から与えられた自分の命を大切にし、「自分の人生には意味がある」と確信をもって言える体験や学びを通して、生徒は卒業後の生き方を考えます。
あなたの光を人々の前で輝かせましょう!たとえどのような困難や課題があったとしても、あなたの光が暗闇を照らす光になります。そこに希望があります。